風邪ひいたんですよ。大した事はなかったんですけど、まあ治りが悪い。年齢のせいでしょうか。は?認めませんけど。
病気になるとちょっと弱気になったりするじゃないですか。なんか心細くなったり。
そんなでね、普段はそんな事めったに思ったりしないんですが、俺も人の子なのでね、癒されたいなあ、とか思ったりしてね。
そう、癒されたい。俺たちはいつだって癒されたいと思ってるんだ。
およそ20年ほど前。世の中に「癒し系」という言葉が生まれ、日本人はみな例外なく癒しを求めた。求め続けた。
平成も終わろうかとしている昨今、人々の癒しへの渇望は、衰えることを知らない。むしろ増し。マシマシ。みんな疲れてるよね。
俺たちは何に癒しを求めるのか。何に癒されたいのか。動物の姿をしたフレンズか、刀から生まれたイケメンか。
それもいい。いいんだけど、ちゃんとあったよ俺たちの少年ジャンプにもさ!流石ジャンプ。至れり尽くせり。
という感じで『鬼滅の刃』です。『鬼滅の刃』は癒し。ありがとう炭治郎という話をしたいと思います。
『鬼滅の刃』が好きだという話
一旦癒しとかそういうの置いとこ。ちょっと、よくわからないし。
はい。『鬼滅の刃』は2016年から少年ジャンプで連載中の大人気怪奇アクション漫画です。既刊13巻。
作者は吾峠呼世晴先生。これがデビュー作。
試し読みどうぞ。
『鬼滅の刃』連載前に何作か読切を発表してるんだけど、これが結構面白かったんだよね。
お願いだから何らかの形で読めるようにしてもらいたいです。コミックスに収録とか、ジャンプ+で読めるようにするとか。
【12/3追記 『肋骨さん』と『蠅庭のジグザグ』はジャンプ+で週刊少年ジャンプのバックナンバーが購入できたので、読めました。嬉しい!『肋骨さん』は2014年39号、『蠅庭のジグザグ』は2015年21号にそれぞれ掲載です。追記おわり】
で、『鬼滅の刃』なんだけど、2019年4月からアニメ放送も予定されているそうで、かなり波に乗ってる感じ。アニメのサイトはこちら。

絵は大して上手な感じじゃないし、話の展開もちょっと強引だったりご都合っぽかったりするんだけどね。そういったトコを帳消しにする良さがこの漫画にはある、はず。
例えば独特のセリフ回しだったり。丁寧なキャラ描写だったり。時折描かれるグロテスクな描写も、好きな人は好きだろうな。
個人的に好きだな、と思うのは、バトルを力技で解決するところですかね。
00年代頃のバトル漫画って「能力的なものを工夫して勝つ」みたいなのが多かったと思うんですよ。
それが10年代に入ってからは割と「強いやつが勝つ。弱くても気合で勝つ」的なものが増えてきた気がする。シンプルになったというか。
これは人それぞれ好みがあるでしょうが、俺は今の流れ嫌いじゃないです。極端に言うと『聖闘士星矢』みたいな感じ。好き。
炭治郎の話をします
『鬼滅の刃』の主人公。レペゼン長男。竈門炭治郎の話をしようと思います。かまどたんじろう と読みますよ。
炭治郎がどんな男か。さくっとわかりやすい場面をいくつかご紹介。
![]()
鬼滅の刃 第3巻 吾峠呼世晴 集英社 より引用
紙からのキャプチャで粗くてごめん。
炭治郎は長男だよ、頑張るよ、という描写です。
この時、炭治郎は前の戦いの怪我が完治してなくて、骨折したまま戦ってんのね。バトル漫画のキャラクターが骨折くらいで弱音を吐くなとお思いかもしれませんが。
でもね俺は次男なので、こんなの絶対我慢できないんですよ。骨折してるんで無理です、って言うもの絶対。でも炭治郎は言わない。長男だから。
そんな炭治郎でもやっぱりちょっとは挫けそうになる、長男といえども。でも頑張る。頑張れ炭治郎頑張れ!って自分で言うしかないくらいしんどいけど、頑張る。強い。
で、何が言いたいのかと言うとだね。このシーンは読者に「炭治郎は大丈夫な子です」って担保してくれてんだと思うの。
「俺だってつらいんだよ」とか「俺ばっかり頑張ってんじゃねーか」とか、そういうメンタルはお呼びじゃないんだよ。
そんな事言われたらさ、俺たち感情移入しちゃうじゃん。『鬼滅の刃』はそういう漫画じゃない。
『鬼滅の刃』は、メンタルお化けの炭治郎君に俺たちの日常のアレやコレやを癒してもらう漫画です。
だから炭治郎には、大丈夫でいてもらわないと困る。
これ、ちょっと『双亡亭壊すべし』のタコハにも通じる所がありませんか。前にこんな記事を書いたんですけど。

炭治郎とタコハは、ちょっとベクトルが違う気がするけど、ジャンルとしては似たような所にいると思う。
なんだろう、「カウンセラー型主人公」とでも言おうか。そんなやつ。
こんなシーンもありました。
鬼滅の刃 第2巻 吾峠呼世晴 集英社 より引用
鬼に婚約者を殺された男性との会話シーン。
炭治郎もこの男性と同じ傷を負ってる。家族皆殺しにされてるからね。でもそれをわざわざ言ったりしない。そしてこの顔ですよ。
優しい、とか、悲しい、とか、なんかそういう感じではないんだよここまでくると。ただただ広い。メンタルが海。パシフィック。
タコハが「相談者に助言するタイプのカウンセラー」だとすると、炭治郎は「相談者が炭治郎を見て勝手に癒される」やつ。あれカウンセラーじゃなくなった。まあいっか。
なんか、あれですよ。海とか空とか見てて気分良くなる事あるじゃないすか。そういう雰囲気です。炭治郎は人じゃないんだ大自然なんだ。
少年漫画の主人公って、大体精神的に未熟なトコがあるものなんですよ。もしくは、完成されすぎて「やれやれだぜ」しか言わないか、どっちか。
炭治郎はどっちでもない珍しい主人公なんですね。タコハと同じく、ストレス社会で戦うみなさんにフィットするべく生まれたキャラクターだと思う。
でもこれ恐ろしい事だよね。『鬼滅の刃』も『双亡亭壊すべし』も少年漫画だよ?少年がメインターゲットなんだよ?こういう主人公が、求められちゃう時代かね。
好きなんですよ基本的には
大体炭治郎ラブの話はやりきった感があるので、最近の『鬼滅の刃』について少し。
ちょっと最近「どうなの?」って感じる事が、ぽろぽろ出てきてしまったな、と思ってます。
ちょっとこのシーンを見て欲しい。
鬼滅の刃 第12巻 吾峠呼世晴 集英社 より引用
これ、ある修行シーンの一幕です。大真面目なシーンなんですよ。一応。多分。
にも拘わらずこの描写、この扱いっていうね。
シリアスな場面にギャグを入れる手法は、有名なところでは『ジャングルの王者ターちゃん』が天才的だったけども、これはちょっとどうなんでしょうか。
このシーンに限らず、最近の『鬼滅の刃』はこの手のノリが増えたなあと思う。日常シーンでキャラのデフォルメ多用しすぎ、とかね。
キャラクターも世界観も十分独特だから、そんなデフォルメ(見た目も中身も)に走る必要ないんじゃないって思うんだけどな。
ええ、まあ、単純に俺がこのノリにちょっと付いていけなくなりつつある、ってだけなんですけど。年齢のせいでしょうか。は?
ええ、はい。そんなところで『鬼滅の刃』最高だよね、という話でした。本誌ではかなり物語が動きそうな気配を見せてきてるので、まだまだ心底期待しております。
強い子に会いたい人はね、是非読んだらいいと思いますよ。おすすめです。
以上でした。ありがとうございました。
コメント